「株式会社」は日本における最も一般的な企業形態ですが、その読み方については「かぶしきがいしゃ」と「かぶしきかいしゃ」の2通りがあり、それぞれ正しいとされています。
本記事では、この2つの読み方の違いや使い分け、関連する情報を詳しく解説します。
株式会社の読み方:「かぶしきがいしゃ」と「かぶしきかいしゃ」
「かぶしきがいしゃ」と「かぶしきかいしゃ」はどちらも正しい読み方であり、法令上明確な定義はありません。ただし、慣用的には「かぶしきがいしゃ」という読み方が一般的です。
広辞苑などの辞書類では「かぶしきがいしゃ」の読みが主流で、日常会話やビジネスの現場でも多く使われています。
また、「かぶしきがいしゃ」という読み方が主流である背景には、連濁(複合語が形成される際、後続の語の最初の清音が濁音に変わる現象)が関係しています。「株式」と「会社」が結合すると、「かぶしきがいしゃ」となるのは自然な日本語の言語現象です。
連濁とは、複数の語が結合して新しい語を形成する際、後続の語の先頭の清音が濁音に変わる現象を指します。
例えば、以下のような例があります:
- 手紙(てがみ):「手(て)」+「紙(かみ)」
- 花火(はなび):「花(はな)」+「火(ひ)」
- 雨傘(あまがさ):「雨(あめ)」+「傘(かさ)」
一方で、「かぶしきかいしゃ」は特にローマ字表記や英語略称の文脈で用いられることが多いです。
英語表記と略称
株式会社のローマ字表記としては「Kabushiki Kaisha」が使われるのが一般的です。法務省の法令英訳データベースなどでも「Kabushiki Kaisha」と表記されており、これに基づいて英語略称は「KK」となります。「かぶしきがいしゃ」の読み方が反映された「KG(Kabushiki Gaisha)」は使用されません。
また、会社名を英訳する際に「KK」を略称として使わず、ローマ字で表記する企業もあります。このため、実際には「KK」が使われる場面は限定的です。
「KK.」を使用している実例としては以下のような企業があります。
- 日本郵船株式会社 = Nippon Yusen K.K.
- 日本鋳造株式会社 = NIPPON CHUZO.K.K.
法人登記におけるフリガナの記載
2018年3月12日以降、商業・法人登記を行う際には登記申請書に企業名のフリガナを記載することが義務付けられました。
しかし、フリガナが記載されるのは企業名の固有部分のみであり、「株式会社」の部分にはフリガナが記載されません。
このため、「株式会社」を「かぶしきがいしゃ」または「かぶしきかいしゃ」のどちらで読むかは企業や文脈に依存します。
銀行振込時の略記方法
銀行振込時には、会社名が制限された文字数内に収まるよう、「株式会社」を略して表記します。
例:
- 会社名の先頭にある場合: 「カ)〇〇」
- 途中や末尾にある場合: 「〇〇(カ」
株式会社の使用頻度と実態
2024年12月31日時点で、日本には約437万件の法人が登録されており、その約91.2%が「株式会社」として登記されています。
このことから、「株式会社」は日本における圧倒的に一般的な企業形態であるといえます。
読み方と使い分け
読み方 | 用途 |
---|---|
かぶしきかいしゃ | ローマ字表記や英語略称「KK」の文脈で使用 |
かぶしきがいしゃ | 日常会話やビジネス文書での慣用的な読み方 |
まとめ
「株式会社」の読み方には「かぶしきがいしゃ」と「かぶしきかいしゃ」の2通りがありますが、日本語として一般的なのは「かぶしきがいしゃ」です。
一方で、英語表記や略称の文脈では「Kabushiki Kaisha(KK)」が用いられることが多く、文脈に応じて使い分けがされています。このような読み方の違いを理解することで、ビジネスや法的な場面で適切に対応できるでしょう。