駅のホームや電車の車内アナウンス、飲食店の順番待ち、オンラインイベントの案内メールなど、あちこちで耳にする「まもなく」という言葉。でも、いざ「まもなくって何分くらい?」「ビジネスメールで使って大丈夫?」と聞かれると、意外と自信が持てない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「まもなく」の基本的な意味から、どのくらいの時間感覚をイメージすればよいのか、電車・店舗・ビジネス・日常会話といった場面別の使い方まで、順番にわかりやすく整理していきます。あわせて、「すぐに」「もうすぐ」「近日中」など似た表現との違いや、ビジネスメールで誤解やクレームを避けるための言い換え例、便利な例文もまとめました。
「まもなくって、結局どれくらいのことを言っているの?」というモヤモヤをスッキリさせて、日常会話や仕事の連絡でも安心して使えるようにしていきましょう。
『まもなく』とは?基本の意味と時間のイメージ
『まもなく』の辞書的な意味とニュアンスを整理
「まもなく」は漢字で書くと「間もなく」。
もともとは「時間の間(あいだ)があまり空かないうちに」という意味を持つ言葉です。
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今この瞬間から、あまり時間をおかずに
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そう遠くないうちに
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近い将来のタイミングで
といった、“近い未来”をぼんやりと示す表現だと考えるとイメージしやすいでしょう。
似た言葉に「もうすぐ」「やがて」などがありますが、
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「もうすぐ」…かなり近い未来をイメージさせる、口語的・カジュアル寄り
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「やがて」…今すぐではないが、少し先の未来(数日・数年など幅広い)
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「まもなく」…今からそう遠くないタイミング。口語でもアナウンスでもよく使う、やや落ち着いた表現
という位置づけになります。
電車のアナウンスやビジネス文書で多く使われることもあり、
「まもなく」という言葉には少しかしこまった、きちんとした印象があるのも特徴です。
『まもなく』は何分くらい?シーン別のおおよその感覚
では、いちばん気になる「まもなく=何分くらい?」という疑問です。
結論から言うと、厳密な「何分以内」という決まりはありません。
ただ、使われる場面ごとに、だいたいのイメージはあります。
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電車・バスのアナウンス
→ 数分以内(1〜5分程度)を指すことが多い
「まもなく到着します」と聞くと、たいていはすぐ外がホームに見えてきますよね。 -
飲食店・店舗での案内
→ 数分〜十数分程度まで広がることもある
「まもなくご案内できます」は、混雑状況次第で待ち時間の幅が出やすい表現です。 -
ビジネスメールや案内文
→ 分単位ではなく、「近いうちに・ほどなく」くらいのざっくりしたイメージ
「まもなく公開予定です」「まもなくご案内いたします」などは、日単位・週単位で使われることもあります。
このように、「まもなく」は時間の“きっちりした長さ”というより、体感的な近さを示す言葉と考えた方がしっくりきます。
『まもなく』と時間の上限・下限はどこまで許される?
「まもなくと言いながら、全然始まらないじゃないか…」
こんな不満を感じたことがある人もいるかもしれません。
一般的な感覚としては、
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下限:1〜2分程度でも「まもなく」と言われて違和感はほぼない
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中間:5〜10分程度なら、状況によってはまだ「まもなく」の範囲
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上限:30分近くなると、人によっては「まもなくって長くない?」と感じ始める
というイメージが多いでしょう。
特に、電車・バスなど時間にシビアな場面では「まもなく」=数分以内という期待値がかなり高いです。一方で、
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「まもなくサービスを終了いたします」
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「まもなく新モデルを発売予定です」
のような案内文では、数日〜数週間レベルの“近い将来”として使われることもあり、文脈によって許容範囲が変わります。
とはいえ、2時間待たせて「まもなく始まります」と言われると、多くの人は不信感を抱くはず。
相手が「どれくらい待つつもりでいるか」を想像しながら使うことが大切です。
場面別『まもなく』の使い方
電車・バスなどアナウンスで使われる『まもなく』
もっとも耳にする機会が多いのが、電車やバスのアナウンスです。
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「まもなく、○○駅に到着いたします」
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「まもなく発車いたします。駆け込み乗車はおやめください」
といったフレーズは、公共交通機関の定番表現といってよいでしょう。
運行状況は秒単位で変わるため、「あと2分で到着します」とは言い切れない場面も多くあります。そのため、
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遅れが生じたときにも使いやすい
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正確な秒数より「もうすぐ到着する」という感覚を伝えたい
という理由から、あえて時間をぼかした「まもなく」が重宝されていると考えられます。
店舗・飲食店での『まもなく』の意味合い
飲食店の順番待ちや、注文した料理が出てくるタイミングでも「まもなく」はよく使われます。
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「まもなくご案内できます」
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「ご注文のお料理は、まもなくお持ちいたします」
ここでは、キッチンの状況や混雑具合によって実際の待ち時間が変わりやすいため、
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「5分ほどでお持ちします」
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「10分前後お時間をいただきます」
といった具体的な時間を言い切るのを避ける意味合いもあります。
ただし、お客さんの立場からすると、「まもなく」と言われたらあまり長くは待ちたくないもの。待ち時間が長くなる可能性が高いなら、
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「現在大変混み合っており、20分ほどお時間をいただきます」
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「前のお客様の状況にもよりますが、15〜20分程度を見込んでおります」
のように、「まもなく」よりも具体的な時間を伝えた方が親切なケースも多いです。
ビジネスシーン・社内連絡での『まもなく』
社内チャットや社外向けのお知らせでも、「まもなく」はよく登場します。
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「まもなく会議が始まりますので、入室をお願いします」
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「まもなく配信開始となります。お手元の接続を確認ください」
など、すでに開始時刻が決まっているイベントの“直前”を示す場面では、とても使いやすい表現です。
一方、納期や作業完了の時期を伝えるときに
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「まもなく完了予定です」
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「まもなく返信いたします」
とだけ書いてしまうと、相手の想像する時間とこちらの感覚がズレやすいという弱点もあります。
社外のお客様に対しては、
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「まもなく(本日中に)ご連絡いたします」
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「まもなく(○時ごろまでに)ご案内をお送りいたします」
のように、一言でよいので目安を添えてあげると安心感がぐっと増します。
日常会話での『まもなく』のラフな使い方
家族や友人との会話でも、「まもなく」は自然に使えます。
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「夕飯、まもなくできるよ」
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「駅にまもなく着くから、もうちょっとだけ待ってて」
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「締切、まもなくなんだけど、まだ手をつけてない」
など、ちょっと“かしこまった雰囲気もあるけれど、普段づかいもできる”便利な言葉です。
また、親しい間柄では、
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実際にはなかなか終わらない作業なのに「まもなく終わります」と冗談ぽく使う
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配信者が「まもなくスタートします」と言いつつ、開始まで少しもたつく
といった、少し笑いを含んだ使い方をすることもあります。
ただ、身内同士でも、何度も「まもなく」と言いながら延び続けると、だんだんイライラされてしまうことも。
親しい関係ほど、体感時間のズレがストレートに表に出やすいので、相手の様子を見つつ使うのが無難です。
『まもなく』と似た表現との違い
『すぐに』『もうすぐ』『やがて』との使い分け
似たような場面で使える言葉として、
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すぐに
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もうすぐ
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やがて
などがあります。それぞれのニュアンスを整理すると、次のようなイメージです。
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「すぐに」
→ 今の状態からほとんど時間をおかずに行動する感覚。
「すぐに伺います」と言われたら、多くの人は「数分〜長くても10分以内くらい」を期待するでしょう。 -
「もうすぐ」
→ 話し手の体感としてかなり近い未来。口語的・カジュアルな表現。
「もうすぐ着くよ」と言われると、数分〜十数分くらいまでをイメージする人が多いはずです。 -
「やがて」
→ 今すぐではないが、いつかそう遠くない未来に。
「やがて春が来る」「やがて結果が出る」のように、分・時間単位より、もっと長いスパンで使われやすい言葉です。
これらと比べると、「まもなく」は
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「すぐに」ほど即時性は強くなく
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「やがて」ほど遠い未来でもなく
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フォーマル寄りで、アナウンスや文章にもなじみやすい
という位置づけになります。
「今からそう遠くないタイミング」を、少しだけ上品に伝えたいときに便利な表現です。
『まもなく』と『近日中』『後ほど』の違い
ビジネスメールでは、「まもなく」と同じような感覚で使われる言葉に
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近日中
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後ほど
があります。それぞれのイメージも整理しておきましょう。
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「近日中」
→ 日単位の感覚で、数日〜1〜2週間ほどの範囲をふんわり示す言葉。
「近日中に公開予定です」「近日中にご連絡いたします」のように、カレンダーの“日”レベルでの近さを表すイメージです。 -
「後ほど」
→ 同じ日・同じ時間帯の中で、少し時間をおいてから。
「後ほどご連絡いたします」と言われたら、多くの人は「今日のうちに何かしら連絡が来る」と期待します。
一方、「まもなく」は、分〜時間〜場合によっては日単位まで幅を持たせられるため、文脈や相手との関係性によって受け止め方が変わりやすい言葉です。
ビジネスシーンでは、
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「まもなく」単体より「本日中に」「○日頃までに」といった具体的な表現
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「近日中」「後ほど」など、時間帯の範囲がイメージしやすい言葉
と組み合わせたり、置き換えたりすることで、誤解を減らすことができます。
英語で言うと?『まもなく』に近い表現
英語でも、「まもなく」に近いあいまいな表現がよく使われます。
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soon
→ 「近いうちに」「そのうち」といった幅のある表現で、
「We will contact you soon.」は、日本語の「まもなくご連絡いたします」に近いニュアンスです。 -
shortly
→ 「ほどなく」「まもなく」と訳されることが多く、比較的短い時間内をイメージさせます。
「We will depart shortly.」は、電車や飛行機でよく耳にするフレーズです。 -
in a few minutes
→ 「数分以内に」と、「まもなく」より具体的に時間を示す表現。
「We will arrive in a few minutes.」のように、より丁寧に目安を伝えたい時に使われます。
英語でも、「soon」「shortly」などは便利さと引き換えにあいまいさを含んだ表現です。
日本語の「まもなく」と同じく、使う場面によっては具体的な時間とセットにした方が、相手にとって親切になります。
ビジネスで『まもなく』を使うときの注意点
ビジネスメールでの『まもなく』はどこまで許される?
ビジネスメールやお知らせ文で「まもなく」を使うと、柔らかく、少し上品な印象になります。
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「まもなく公開予定です」
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「まもなく詳細をご案内いたします」
といった言い回しは、特にお知らせ系の文章に向いています。
ただし、注意したいのは次のような場面です。
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納期や締切が迫っているとき
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相手が遅延に不満を持っているとき
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トラブル対応・クレーム対応の連絡
こうしたシーンで「まもなく」を多用すると、相手にとっては「具体的にいつ?」が見えないため、かえって不安や不信感を与えやすいのです。
ビジネスのやり取りでは、
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「まもなく」だけで済ませない
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少なくとも「本日中に」「○日までに」などの目安を添える
といった工夫が大事になってきます。
誤解・クレームを防ぐための一言の工夫
「まもなく」は便利な表現ですが、使い方を少し工夫するだけで、トラブルをかなり減らせます。
たとえば、
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「まもなく(5分ほどで)ご案内いたします」
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「まもなく(○時ごろまでに)ご連絡いたします」
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「まもなく(3営業日以内に)発送予定です」
のように、括弧で具体的な時間の目安を書き添える方法です。
この一言があるだけで、
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受け手が待つ時間のイメージを持ちやすくなる
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「いつまで待てばいいの?」という不安を軽くできる
というメリットがあります。
また、状況によっては、
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「現在対応中ですので、○時までに一度ご連絡いたします」
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「詳細がわかり次第、すぐにご報告いたします」
のように、「まもなく」をあえて使わず、直接的に時間や行動を書く方が安心感につながるケースも多いです。
使わない方が無難な場面と、代わりに使える表現
次のような場面では、「まもなく」は避けた方が無難です。
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クレーム対応・謝罪メール
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大きなトラブルや障害に関する告知
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納期・支払期日・契約更新など、時間にシビアな内容
このようなところで「まもなく」を使ってしまうと、
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「結局、いつまでに対応してくれるのか」
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「どこまで待てばいいのか」
が見えないままになり、相手の不安を強めてしまいがちです。
代わりに使いやすい表現としては、
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「○時までにご連絡いたします」
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「本日中に、進捗状況をご報告いたします」
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「詳細がわかり次第、ただちにご連絡いたします」
など、期限やタイミングをできるだけ具体的に伝える言い方がおすすめです。
『まもなく』の例文集
電車・バス・アナウンスの例文
まずは、公共交通機関でよく耳にするパターンです。
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「まもなく、終点○○駅に到着いたします。」
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「まもなく発車いたします。黄色い線の内側までお下がりください。」
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「まもなくドアが閉まります。かけ込み乗車はおやめください。」
これらは、敬語+「まもなく」の組み合わせを押さえる例としてそのまま使えます。
語尾のバリエーションとしては、
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「まもなく到着いたしますので、ご注意ください。」
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「まもなく発車いたします。お乗り遅れのないようご注意ください。」
のように、「ので」「よう」などをつけて注意を促すパターンも覚えておくと便利です。
ビジネスメール・社内連絡での例文
ビジネスで使う場合は、相手との距離感に応じて少し言い回しを調整します。
社外向けのお知らせメールの例:
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「本日18時より、メンテナンス作業を実施いたします。まもなく詳細をご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。」
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「新機能の公開に向けて準備を進めており、まもなくリリース開始予定です。」
社内連絡・チャットの例:
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「まもなく会議が始まりますので、接続確認をお願いします。」
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「資料がまとまり次第、まもなく共有します。」
また、安心感を高めたい場面では、
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「まもなく(本日中に)ご回答をお送りいたします。」
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「まもなく(5分ほどで)担当よりご連絡いたします。」
のように、時間の目安を一言添えたバージョンも用意しておくと便利です。
日常会話・カジュアルな場面での例文
日常会話では、もう少しくだけた言い方でも大丈夫です。
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「ごはん、まもなくできるからテレビ消してー。」
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「駅にまもなく到着するよ。改札の前で待ってて。」
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「この作業、まもなく終わるから、あと5分だけ待って。」
あえて冗談ぽく使うなら、
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「締切、まもなくなんだけど…まだ何もやってない。」
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「配信まもなくスタートします!と言いながら、まだ準備中です。」
のように、自分の状況を面白く伝える表現としても使えます。
ちょっとNG寄りな使い方と、その言い換え例
最後に、「これは少し注意したい」という例も挙げておきます。
あまり好ましくない例:
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「まもなくご連絡します。」と言ったきり、数日〜1週間連絡がない
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修理対応で「まもなく完了予定です。」と繰り返すだけで、いつまで経っても終わらない
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「まもなく復旧します。」とアナウンスしつつ、実際には何時間もかかる障害対応
こうしたケースでは、「まもなく」が「ごまかしているように聞こえてしまう」ことがあります。
言い換え例:
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「○時までに、あらためて状況をご報告いたします。」
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「復旧時刻は未定ですが、進展があり次第、ただちにお知らせいたします。」
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「作業は現在も継続中です。完了まで、あと30分程度を見込んでおります。」
のように、
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いつ情報を更新するか
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どれくらい待ってもらいたいか
を、可能な範囲で具体的に書き換えると、受け手の印象が大きく変わります。
『まもなく』に関するよくある質問【FAQ】
Q1:『まもなく』は何分くらいまでを指す言葉ですか?
A:厳密な決まりはありませんが、電車やアナウンスでは数分以内をイメージする人が多いです。店舗やビジネスでは、状況によって十数分〜日単位まで広がることもあるため、文脈がとても大事になります。
Q2:『まもなく』は1時間や数日後にも使えますか?
A:使うこと自体は可能です。ただし、相手の期待値とのズレが大きくなりやすいので、「本日中に」「○日までに」など、もう少し具体的な言葉と組み合わせた方が安全です。
Q3:ビジネスメールで『まもなく』を使うのは失礼になりませんか?
A:言葉そのものが失礼というわけではありません。
ただ、「まもなく」と言うだけで具体的な期限が見えないと、相手に不安を与えることがあります。納期やクレーム対応など、時間にシビアな場面では、具体的な時刻や日付を添えることをおすすめします。
Q4:電車アナウンスの『まもなく』と実際の到着時間が違うのはおかしくない?
A:運行状況によって、どうしても到着までの時間に誤差が出ることがあります。そのため、「あと○分」と言い切るよりも、少し幅を持たせた『まもなく』という表現が選ばれていると考えるとイメージしやすいでしょう。
Q5:『まもなく』よりも具体的で安心感のある言い方はありますか?
A:たとえば、
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「あと5分ほどで」
-
「○時ごろまでに」
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「本日中に」
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「3営業日以内に」
といった、時間の目安がわかる表現です。
大事な連絡やトラブル対応では、「まもなく」だけに頼らず、こうした言い方も積極的に使っていくと安心感が高まります。
まとめ|『まもなく』は便利だけど、場面に合わせた使い分けが大事
「まもなく」は、“遠くない未来”をやわらかく伝えられる便利な言葉です。
電車のアナウンスや店舗の案内、ビジネスメール、日常会話まで、幅広い場面で活躍します。
一方で、時間に厳密さが求められる場面や、相手が不安を抱えている状況では、
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「まもなく」だけだと、かえってモヤモヤを生んでしまう
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具体的な時刻や期限を示した方が、相手にとって親切
という側面もあります。
「どれくらい待たせてしまうのか」
「相手はどんな状況でこの言葉を受け取るのか」
という視点を持ちながら、「まもなく」「すぐに」「近日中」「後ほど」などを使い分けていけば、日常の会話もビジネスのやり取りも、ぐっとスムーズになっていきます。

