「スマホの充電器で、ノートパソコンって充電できないの?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
たしかに、スマホもノートパソコンも、今は「同じ形のケーブル(USB-C)」を使うことが多くなっています。だからこそ、「同じ充電器でどちらも使えそう」と思ってしまうのも無理はありません。
ですが実際には、スマホ用の充電器ではノートパソコンがまったく充電できなかったり、ものすごく遅かったりすることがあります。
この記事では、その理由をできるだけやさしく、でもしっかりと解説していきます。あわせて、失敗しないための充電器の選び方や、気をつけたいポイントも紹介します。
🔋ノートPCには「充電に必要な電力」がある
ノートパソコンを充電するためには、ある程度のパワー(電力)が必要です。
この「電力」というのは、電気の強さを表す数字で、単位は「W(ワット)」で表されます。
💡スマホとパソコンで必要な電力は全然ちがう!
たとえば…
機器 | よくある必要な電力(目安) |
---|---|
スマホ | 約5W〜20W程度 |
ノートPC(軽量タイプ) | 約30W〜45W程度 |
ノートPC(高性能タイプ) | 65W〜100W以上も必要なことも |
こうして比べてみると、ノートパソコンの方が2〜5倍くらい電力を多く使うのがわかります。
つまり、スマホ用の充電器はそもそもパソコンを動かすだけのパワーが足りていない可能性があるのです。
⚠️「充電マークはつくけど電池が増えない」こともある
なかには、スマホ用の充電器をノートパソコンに挿すと、充電マークが表示されることもあります。けれど、実は…
-
電池の残量がまったく増えない
-
むしろじわじわ減っていく
…という現象になることもあります。
これは、「ほんの少しだけ電気が足りているけど、動作には追いつかない」という状態です。
📝 まとめ:まずは「電力の大きさ」が全然違う!
スマホ用の充電器でノートパソコンが充電できない一番の理由は、
🔌 ノートパソコンに必要な電力を、スマホの充電器では出せないことが多いから
ということ。
この時点で「形が同じでも中身が違うんだな」とイメージしていただければ大丈夫です。
🔌「USB PD対応」の充電器じゃないと使えない
さきほどお話ししたように、ノートパソコンは多くの電力(ワット)を必要とします。
ですが、それだけではなく、「どういう仕組みで電気を送るか」ということも大切になってきます。
その仕組みのひとつが、最近よく見かける「USB PD(ピーディー)」というものです。
💡 USB PDってなに?
USB PDとは「USB Power Delivery(パワーデリバリー)」の略で、簡単に言うと:
🔋「もっとたくさん電気を送れるようにする、特別なルール」
…のようなものです。
この仕組みに対応していないと、たとえ高性能な充電器でも、ノートパソコンに必要な電力をうまく届けられないことがあります。
❌ 普通のスマホ充電器は非対応なことが多い
たとえば、100円ショップなどで売っている小型のUSB充電器や、古いスマホについてきた充電器は、USB PDに対応していないことがほとんどです。
そういった充電器は、
-
5W(または10W)くらいの出力しかない
-
USB PDの信号を送れない
-
パソコンが「これは使えない」と判断して充電しない
…ということになります。
🔍 見分け方のポイント
パッケージや商品説明に、次のような表示があるかどうかを確認しましょう:
-
✅「USB PD対応」
-
✅「30W」「45W」「65W」など、数字で書かれた出力
-
✅「ノートパソコン充電対応」と明記されている
逆に、
-
❌「スマホ専用」「5Vのみ」「5W」などと書いてあるものはNG
-
❌「USB充電器」とだけ書かれていて、ワット数もPDも書かれていないものも要注意
📝 まとめ:ただのUSB充電器ではダメな理由
USB PDという「大きな電力を送るための仕組み」に対応していないと、ノートPCは充電できません。
形が同じでも、中身の通信や電力の出し方が違うというわけですね。
🔗 ケーブルの種類にも注意!
「パソコンもスマホも、どっちもUSB-Cのケーブルでつなげるから、きっと同じでしょ」
……と思いがちですが、ケーブルにも実は種類や性能の違いがあるんです。
形は同じでも、中の“通れる電気の量”や“通信のルール”が違うため、合わないケーブルを使うと充電に失敗することがあります。
⚠️ 見た目が同じでも「ダメなケーブル」がある
とくに注意したいのが、次のようなケーブルです:
-
スマホ用に付いてきた細めのケーブル
-
100円ショップで買った安価なUSB-Cケーブル
-
「データ転送のみ対応」と書かれたケーブル
これらは「形はUSB-Cでも、高出力の電気を流す設計になっていない」ため、ノートパソコンの充電には不向きです。
💡 ケーブルにも「パワーを流せる能力」がある
パソコンの充電には、ケーブルの中を流れる電気の量も重要です。
特に「65W」「100W」などの大きな電力を使うノートパソコンでは、それに対応した“強いケーブル”が必要になります。
こういったケーブルには、「E-Marker(イーマーカー)」という、パワーをちゃんと流せるか確認する“信号チップ”が内蔵されているものがあります。
(※言葉を知らなくても大丈夫。要は“高出力対応”と書かれたケーブルを選べばOKです)
✅ ケーブル選びのチェックポイント
チェック項目 | 解説 |
---|---|
「60W対応」「100W対応」など書かれている | 大きな電力にも対応している証拠 |
「USB PD対応」と明記されている | 安心してパソコンに使える |
「E-Marker搭載」「高速充電対応」などの表記 | 高出力に対応している可能性が高い |
逆に、何も書いていないケーブルや、薄くて細すぎるケーブルは避けたほうが無難です。
📝 まとめ:ケーブルも“ただのコード”じゃない!
見た目は同じでも、中身や性能に大きな差があるのがUSB-Cケーブル。
ノートパソコンをちゃんと充電したいなら、高出力に対応したケーブルを使うことが大切です。
💻 ノートPC側がUSB充電に対応していないことも
これまでの内容で「スマホ用の充電器やケーブルが原因かも」と思った方も多いかもしれませんが、実は…
ノートパソコン本体のほうがそもそもUSB充電に対応していないこともあります。
これは意外と見落とされがちなポイントです。
❓「Type-C端子がある=充電できる」とは限らない
最近のノートパソコンには、丸い差し込み口(ACアダプター)ではなく、スマホと同じUSB Type-C(C型)ポートがついているものも増えています。
でも、
-
データのやりとり専用
-
外部ディスプレイ接続専用
-
スマホや周辺機器への電力供給だけができる
…という「充電はできないType-C端子」もあるんです。
つまり、差込口の形が同じでも、「このポートではパソコン本体を充電できません」という仕様のこともあるというわけです。
🔍 対応しているか調べるには?
✅ 方法1:パソコンの説明書や公式ページを見る
製品ページやマニュアルに「USB Type-C充電対応」「USB PD対応」などと書かれていればOKです。
✅ 方法2:端子の横に“充電マーク”があるか確認する
差し込み口の近くに「電池の形」や「コンセントのマーク」がついていれば、充電対応の目印になります。
❌ 何も書いていない&公式にも情報がない
→ その場合、充電には専用のACアダプターが必要なタイプかもしれません。
📝 まとめ:パソコン側も「充電できるポート」かどうかが重要!
USB-Cの穴があるからといって、必ずしもパソコンを充電できるとは限りません。
事前に「この差込口、充電用かな?」と確認しておくのが安心です。
⚠️【補足】スマホ用充電器で“充電はできるが電力が足りない”ケース
ここまで「スマホ用の充電器ではノートパソコンは充電できない」とお伝えしてきましたが、実はちょっとややこしい現象があります。
それが、
🔋一応「充電中」のマークは出るけど、バッテリーが増えない
または
🔋じわじわと減っていく
というケースです。
🔌 マークが出るのに…なぜ?
これは、スマホ用充電器がほんの少しだけ電気を供給できている状態です。
でも、ノートパソコンは常に電力を使って動いています。
たとえば:
-
ネットに接続している
-
画面が明るい状態で開いている
-
アプリやファイルがバックグラウンドで動いている
こういったときは、パソコンが充電されるよりも早く電力を消費してしまい、結果としてバッテリーが減っていくのです。
🧠 イメージで例えるなら…
スマホ充電器は「水道の蛇口(電気を出す側)」が小さく、
ノートパソコンは「お風呂を満たす(電気を使う側)」ようなもの。
蛇口の水がチョロチョロだと、浴槽に水は入ってはいるけど、湯量が増えないという状態になりますよね。
これがまさに、電池が「増えない」または「減っていく」状態です。
📝 まとめ:反応しても「使える」とは限らない
スマホの充電器で充電マークが表示されても、実際には電力不足の可能性が高いです。
長く使う・移動先で充電するなどの場合は、対応した充電器を使わないと逆にトラブルの元になることも。
❓よくある質問(FAQ)
Q1. スマホとノートパソコンで同じ充電器は使えないの?
A. 基本的には使えません。
スマホ用の充電器は、パソコンを充電するには電力が足りないことがほとんどです。
見た目は同じUSB-Cでも、中で流れる電気の量や仕組みが違うので注意しましょう。
Q2. 「65W対応」と書かれた充電器なら、どのパソコンにも使えるの?
A. 多くの場合は使えますが、パソコン側もUSB充電に対応している必要があります。
また、一部の高性能なノートPC(ゲーミングPCなど)は65Wでは足りないこともあります。
Q3. ケーブルも関係あるんですか?どれでもいいと思ってました…
A. はい、実はケーブルもとても重要です。
見た目は同じでも、中には電気をたくさん流す力が弱いケーブルもあります。こういったケーブルを使うと、ノートパソコンの充電に必要な電力が足りず、うまく充電できません。
さらにもうひとつ、あまり知られていない理由があります。
それは、パソコンと充電器が「ちゃんと通信できない」というケースです。
⚡ 実は、パソコンと充電器は「このくらいの電気を流しますよ」とお互いに“信号”を送り合ってから充電を始めます。
でも、ケーブルによってはこの信号を正しくやり取りできないものがあり、そのせいで充電が始まらないことがあるんです。
🔍 こういった問題を避けるためには…
-
「60W対応」「100W対応」といった高出力用ケーブル
-
「USB PD対応」「E-Marker搭載」などと書かれた高性能なケーブル
…を選ぶのが安心です。
Q4. 充電マークは出るのに、バッテリーが全然増えないのはなぜ?
A. それは、電気は入っているけど使う量の方が多いという状態です。
つまり、充電器から来る電気が「ちょっとだけ」で、パソコンの消費電力に追いついていないんですね。
Q5. モバイルバッテリーでノートPCは充電できますか?
A. 条件を満たせば可能です。
「USB PD対応」「出力65W以上」などの条件を満たしたモバイルバッテリーなら充電できます。
ただし、スマホ用のモバイルバッテリーでは基本的にパワー不足です。
✅ 【まとめ】適切な充電器・ケーブルの選び方
ノートパソコンをスマホ用の充電器で充電しようとして、「あれ?なんでできないの?」と不思議に思った方は多いはずです。
ここまでお読みいただいたように、その理由はさまざまです。
-
スマホ用の充電器は電力が足りない
-
USB PDという仕組みに対応していないと電気を十分に送れない
-
ケーブルにも高出力に対応した種類がある
-
ノートパソコン側の充電ポートの仕様にも左右される
-
見た目では分かりにくいけれど、通信(信号のやりとり)がうまくできないこともある
🔍 失敗しないためのポイント
ノートパソコンを安全・確実に充電したいときは、以下をチェックしましょう。
✅ 充電器(アダプター)
-
「USB PD対応」と書かれている
-
ノートPCの仕様にあわせて、30W・45W・65W・100Wなどの出力が選べる
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「ノートパソコン対応」と明記されていると安心
✅ ケーブル
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「60W対応」や「100W対応」といった高出力ケーブル
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「USB PD対応」「E-Marker搭載」といった表記
-
長すぎず、適度な太さのある製品が安心
✅ ノートPC本体
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「USB-Cポートで充電できる」タイプかどうか確認(説明書 or メーカーサイト)
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ポートの横に電池や電源マークがあるかもヒントになる
💬 最後にひとこと
形が同じでも、「中身」が違うのがUSB充電の世界です。
ノートパソコンとスマホは見た目よりもずっと別物。
安全に、そして効率よく充電するためには、対応する組み合わせで使うことが何より大切です。