飛行機に乗るとき、「ペットボトルって気圧で破裂したりしないの?」と心配になることがありますよね。とくに炭酸飲料や子どもの飲み物を持ち歩くときは、どこまで持ち込んでいいのか、どの線から国際線のルールが変わるのか……と、疑問が次々と出てきます。
結論からいうと、一般的なペットボトルが機内で突然破裂するケースはまれですが、気圧の変化によって“ふくらみやすい状況”が起きることは普通にあります。また、国際線では「100mlルール」の影響で、国内線とはまったく違う扱いになる点も注意したいところです。
この記事では、
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飛行機の気圧でペットボトルがどう変化するのか
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国内線と国際線で異なる持ち込みルール
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トラブルを避けるためのちょっとした工夫
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よくある誤解・よくある質問
などを、できるだけやさしく整理してまとめました。
旅行前の不安をひとつずつ解消しながら、「これは持ち込んで大丈夫かな?」という迷いを減らせるように解説していきます。では、さっそく見ていきましょう。
まず結論|飛行機の気圧でペットボトルはどうなる?
機内の気圧は地上より低くなる|“ふくらみやすい”のは自然現象
飛行機に乗ると、客室内は地上よりも気圧が低く設定されています。これによってペットボトルの内部にある空気が膨らむため、ボトルが硬く感じられたり、少しふくらんだように見えることがあります。これは多くの人が経験する、ごく自然な現象です。
破裂は非常にまれ|ただし膨張は普通に起きる
「破裂してしまうのでは?」と心配になる方もいますが、一般的なペットボトルが通常の旅客機の環境で突然破裂するケースは非常にまれです。市販ボトルはある程度の気圧差に耐えられる強度で作られているため、過度に不安になる必要はありません。
とはいえ、膨張そのものは普通に起きるため、地上よりも“パンッ”と張った状態になることはあります。
炭酸飲料や温度差によって膨らみ方が大きくなることも
炭酸飲料はもともと内部圧力が高いため、
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気圧の低下
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機内の揺れ(振動)
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温度差(真夏・真冬)
などが重なると、ボトルがかなり硬くなることがあります。また、内容物の温度が変化すると体積も変わるため、真夏に温かい状態のまま持ち込んだり、真冬に冷えきった状態で持ち込んだりすると、膨張の度合いが大きくなるケースもあります。
預け入れ荷物に入れた場合は環境が異なるため注意
ペットボトルを預け入れ荷物に入れる場合、機内とは環境が異なります。気圧や温度の変化がより大きくなる可能性があるため、炭酸飲料や気体を多く含む液体は変形が出やすいことも覚えておきたいポイントです。
とはいえ、こちらも「破裂しやすい」という意味ではなく、ふくらみやすい・形が変わりやすいといった程度の話です。
飛行機でペットボトルが膨らむしくみ|やさしい物理で解説
気圧が下がると内部の空気が膨張する
飛行機の客室は一定の「与圧」がかけられていますが、それでも地上よりは気圧が低い状態になります。
このとき、ペットボトル内部にある空気(気体)は、外側の圧力が下がると体積が大きくなる性質を持っているため、ボトルが膨らんだり、硬く感じられたりするわけです。
この“空気が膨らむ”という基本的なしくみが、飛行機内で起きる多くの変化の根本にあります。
お菓子の袋がパンパンになる現象とまったく同じ
飛行機に乗ったとき、お菓子の袋がパンパンに膨らんでいた経験はありませんか?
あれと同じことがペットボトルでも起きています。
スナック菓子の袋には空気が多く含まれているため、外気圧が下がると袋全体がふくらみます。ペットボトルの飲料でも「液体+少しの空気」が必ず入っているため、その空気部分が外圧に反応して膨張するというわけです。
液体と気体の割合によって“膨らみやすさ”が変わる
膨張しやすいかどうかは、ボトルの中の「液体と気体の割合」によって変わります。
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気体(空気)が多いボトル → 膨張しやすい
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気体が少なく、液体が満杯のボトル → 膨張が起きにくい
特に炭酸飲料は、液体の中に気体(二酸化炭素)が溶け込んでいます。気圧が下がると炭酸が抜けやすくなり、ボトル内部の圧力が上がりやすいため、普通の水やお茶よりも膨張がはっきり表れます。
凍らせた飲み物が注意されやすいのは「体積の変化」が大きいから
凍らせたペットボトルを持ち込む人もいますが、氷になると液体より体積が増えるため、気圧や温度の変化によって内部の膨張が大きくなりやすいという特徴があります。
また、氷が溶ける過程で体積が変化し続けるため、
・膨張 → 収縮 → 再び膨張
と変化が繰り返されることもあり、扱いによってはボトルに負荷がかかりやすくなります。
もちろん「すぐに危険」という話ではありませんが、気圧+温度差の組み合わせで変化が大きくなる点だけ覚えておくと安心です。
国内線のペットボトル持ち込みルール
水・お茶などの飲料は国内線ならそのまま持ち込める
国内線では、水・お茶・ジュースなどの一般的な飲料は手荷物として自由に持ち込めます。
容量の制限もなく、コンビニで買った500mlのペットボトルでも問題ありません。
検査場では、X線検査機に通すだけで、基本的に追加の手続きは不要です。
そのため、喉が乾きやすい方や、小さなお子さんがいる場合でも安心して準備できます。
保安検査場では飲料が「安全な液体」であることを確認される
国内線では100mlルールはありませんが、保安検査場では中身が危険物ではないかを確認することがあります。
代表的なチェック方法
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X線検査でボトルの形状・内部状態を確認
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必要に応じて係員が飲料を専用機器でチェックする場合もあり
とはいえ、日常的な飲料であれば数秒で終わる軽い確認なので、特別な準備はいりません。
ベビードリンク・医療目的の飲料も持ち込み可能
赤ちゃん用のミルク・麦茶・離乳食などの液体類は、国内線であれば基本的に持ち込みできます。
同様に、医療目的で必要な飲料や栄養補助飲料なども持ち込み可能です。
必要に応じて説明を求められることがありますが、難しい手続きではなく、係員とのちょっとしたやり取りで済むことがほとんどです。
預け入れ荷物に入れる場合は“気圧・温度差”の影響に注意
ペットボトルをスーツケースに入れて預ける場合、機体下部の貨物室は客室より気圧や温度が変わりやすいため、膨張が起きやすくなることがあります。
特に注意したいもの
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炭酸飲料
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凍らせた飲み物
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プッシュ式の飲料容器
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気体を多く含むもの(スポーツドリンクなど)
破裂するほどではないにしても、バッグの中でボトルが硬くなったり、ラベルが浮いたりすることがあります。気になる場合は、ボトルをタオルで巻いたり、漏れ防止のためにジップバッグに入れておくと安心です。
国際線の“100mlルール”|誤解しやすいポイントまとめ
100mlルールは「飲み物だけ」でなく“液体物全般”に適用される
国際線では、保安検査場を通過する際に「液体物は1容器100ml(100g)以下」というルールが適用されます。
誤解されやすいのですが、このルールは水やジュースなどの飲料に限らず、化粧水・ジェル・クリーム・歯磨き粉など液体とみなされるもの全般が対象です。
そのため、500mlのペットボトル飲料はもちろん、150mlの化粧水や、125mlのチューブタイプの商品も、そのままでは持ち込めません。
持ち込める液体の“合計量”ではなく“1容器あたり”が100ml
もうひとつよくある誤解が、
「合計で100ml以内ならOK?」という疑問です。
実際は、
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100ml以下の容器に入っていること
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それを1リットル以下の透明ジッパー袋に入れること
この2つが基本ルールです。
つまり、
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50ml容器 × 3本 → OK
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150ml容器 × 1本 → NG
という扱いになります。
トランジット(乗り継ぎ)では“保安検査のやり直し”で没収されることがある
国際線で意外と多いのが、乗り継ぎ空港で飲料が没収されるケースです。
たとえば
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手荷物で持ち込んだペットボトル
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機内でもらった飲料
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到着空港で移動中に買ったドリンク
などは、乗り継ぎの保安検査で再び100mlルールの対象になります。
特に、
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欧州
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アジア主要都市
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北米
では、トランジット時の液体ルールが厳格な空港も多く、没収されるケースは珍しくありません。
免税店で購入した飲料・液体でも、経由地によっては没収の可能性
国際線の免税店で購入した液体物は、未開封であれば「STEBs」という専用封印袋」に入れてもらえます。
これにより、そのまま機内へ持ち込むことができます。
しかし、
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乗り継ぎ先がSTEBs未対応の空港
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到着後に一度袋を開封した
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袋の封印が完全でない
といった場合は、再検査で没収されることがあります。
特にヨーロッパ→アジアへの移動など、地域によって扱いが異なるため、必要以上に持ち歩かず「現地で開封する」「預け入れに移す」などの対応をとる人も多いです。
ペットボトルが破裂しないために|旅行者がよくやっている工夫
中身を少し減らして“空気の逃げ場”をつくる
ペットボトルが膨らみやすくなる理由のひとつは、内部の空気が外気圧の変化で膨張するためです。
そのため、飲み物を少しだけ飲んでおき、ボトルの上部に空気のスペースを作っておくと、膨張したときの負荷が軽くなります。
満杯の状態よりも圧力変化の影響を受けにくくなり、旅行中のちょっとした安心につながります。
炭酸飲料は預け入れより“機内持ち込み”にする人が多い
炭酸飲料は内部圧が高く、気圧や温度の変化で膨張しやすい特徴があります。
そのため、旅行者の中には 預け入れ荷物に入れず、機内に持ち込む という選択をする人が多いです。
機内は与圧がかかっているため、貨物室よりも環境変動が穏やかで、ボトルの状態が読みやすいというメリットがあります。
(※もちろん、国際線では100mlルールがあるため、炭酸飲料の機内持ち込みはルートによって判断が必要です。)
カバンの外側ポケットに入れず、内部に“固定して”収納する
飛行機の揺れや移動中の振動で、外側ポケットに入れたボトルがぶつかったり押されたりすると、余計な力が加わってしまうことがあります。
そのため、
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バッグの内部ポケットに入れる
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タオルや衣類で軽く包んで固定する
といった方法で、揺れによる衝撃を減らすのもよく見られる工夫です。
真夏・真冬は温度差による変化を見越して“緩衝材”を使う
気圧だけでなく温度差でもボトルの状態は変わりやすいため、
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夏の暑さで内部圧が上がる
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冬の寒さで液体が冷えて体積変化が起こる
といった状況があると、ボトルが硬くなったりラベルが浮いたりすることがあります。
そのため、旅行者の中には、
ジップバッグ+タオルや衣類で軽く包む という方法を使う人も多いです。
バッグの中の他の荷物を濡らさない“念のため”の対策としてもよく選ばれています。
海外旅行で役立つ“液体の持ち運びテク”
現地購入・現地処分で“荷物を最小限”にする
海外旅行では、液体物を多く持ち歩くほどルールの制約が増え、管理も大変になります。
そのため、旅行者の多くは 現地で必要な飲料や日用品を購入し、不要になったら現地で処分する というスタイルを取っています。
特に、
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ルールが国によって微妙に異なる
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トランジットで再検査がある
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帰国時は荷物が増えがち
といった事情があるため、「液体は必要最低限」という考え方はとても合理的です。
折りたたみ式ボトルや“小分け容器”があると便利
最近は、海外旅行向けに使いやすいアイテムも増えています。
●折りたたみ式のソフトボトル
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軽い
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使い終わったら折り畳める
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ボトル自体に空気スペースを作りやすい
といった理由から、旅行者に人気です。
●100ml以下の小分け容器
化粧水・ジェル・乳液・シャンプーなど、国際線の持ち込みに悩む人が多い液体類は、
100ml以下のボトルへ詰め替えておくと管理が楽になります。
市販の「旅行用小分けセット」はほとんどが国際線対応サイズで、手持ちのポーチにまとめやすいのもメリットです。
預け入れ荷物には“ジップバッグ+タオル”で漏れ対策
預け入れ荷物に液体物を入れる場合は、
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気圧
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温度
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移動時の揺れ
といった環境の変化が重なり、容器が膨張したり、押されて漏れたりすることがあります。
そこでよく使われるのが、
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液体をジップバッグに入れる
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バッグの中でタオルや衣類をクッションにする
といった, “万が一”に備える方法です。
シャンプーや化粧品の詰め替えパウチ、香水、小さな保湿ジェルなどは、特にこの方法を使う旅行者が多く、
「スーツケースの中を汚さずに済む」という安心感があります。
知っておくと便利|ペットボトル以外で“気圧の影響が出やすいもの”
スナック菓子類(袋がパンパンに膨らみやすい)
飛行機の客室では気圧が下がるため、お菓子の袋に含まれる空気が膨張して袋全体がパンパンに膨らむことがあります。
よくある例としては、ポテトチップスやスナック菓子の大袋。
開封するときに中身が飛び散りやすくなるため、ゆっくり開けるなど、ちょっとした注意が必要です。
プラスチック容器(タッパー類・密封容器など)
タッパーや弁当箱のような密閉性が高いプラスチック容器も、外気圧が下がると中の空気が膨らみ、フタが軽く浮き気味になったり、開けにくくなったりすることがあります。
特に、
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手作りの持ち込みフード
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密閉力の強いタッパー
などは膨張による変形が起きやすいため、余裕のある収納スペースに入れておくと安心です。
化粧品のプッシュ式ボトル(内部圧の変化で押し出されやすい)
ローションやジェルなどのプッシュ式ボトルは、内部の圧力変化で少量が押し出されることがあります。
特に、
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ワンプッシュで液体が出るタイプ
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蓋がゆるみやすい容器
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空気と液体の両方が入っているタイプ
は、バッグの中で容器の口周辺が少し濡れていた…というケースも見られます。
ジップバッグに入れておくと、こうしたトラブルを抑えやすくなります。
シャンプー・リンスの詰め替えパウチ(膨張しやすい)
詰め替えパウチは、袋の素材が柔らかいことと、中に少し空気が残る構造のため、気圧が下がる環境では膨らみやすくなります。
膨らんだ状態でスーツケースに圧がかかると、まれに漏れやすくなることがあるため、
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パウチの上からジップバッグに入れる
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タオルや衣類で挟んでおく
といった工夫をする旅行者が多いです。
ボールペン・万年筆(インクの出方に変化が出ることも)
液体のインクを使用する筆記具も、気圧差によってインクがにじみやすくなる場合があります。
特に万年筆は構造上、気圧の変化が内部に伝わりやすく、ペン先からインクがにじむことがあるため、ケースに入れておくと安心です。
よくある質問(FAQ)
Q. 炭酸飲料は機内で必ず破裂しますか?
A. 必ず破裂するわけではありません。
一般的な炭酸飲料用のペットボトルは、気圧変化にある程度耐えられるよう作られているため、機内で突然破裂するケースはまれです。
ただし、
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気圧が下がる
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温度差がある
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揺れで振動が加わる
などの条件が重なると、ボトルが硬く張ってくることがあります。
荷物の中に押し込まず、機内では目の届く場所に置いておくと安心です。
Q. 凍らせたペットボトルは持ち込めますか?
A. 国内線では一般的な飲料として持ち込める場合が多いですが、国際線では100mlルールの対象になる可能性があります。
また、凍らせた飲み物は気温や気圧の変化で体積が変化しやすく、ボトルに負荷がかかることがあります。
特に国際線ではルールが細かく異なるため、搭乗する航空会社や空港の案内を事前に確認するのがおすすめです。
Q. 子どもの飲み物は100mlルールの対象ですか?
A. 国際線の場合、赤ちゃん用飲料やミルクなど一部の液体は、例外として持ち込みが認められることがあります。
ただし、空港や国によって対応が少しずつ異なるため、
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係員が中身を確認する
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専用の検査を受ける
といった手続きが入る場合もあります。
必要量だけを持ち込み、念のため航空会社の案内ページをチェックしておくとスムーズです。
Q. 海外免税店で買った飲料が没収されることはありますか?
A. 可能性はあります。
免税店で購入した液体物は、通常「STEBs」という専用封印袋に入れてもらえればそのまま機内に持ち込めますが、
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乗り継ぎ先がSTEBs未対応の空港だった
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封印袋を開けてしまった
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外見上の封印が不完全だった
などの条件があると、再検査の際に没収されることがあります。
乗り継ぎ便が多い旅行では、「到着後に開封する」「預け入れ荷物に移す」など工夫している人が多いです。
Q. 海外の空港ならどこでも100mlルールは同じですか?
A. 基本的なルールは似ていますが、細かい部分は国や空港ごとに異なることがあります。
たとえば、
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透明袋のサイズの扱い
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液体物の分類の仕方
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追加検査の有無
などが、地域によって微妙に違うケースがあります。
特に欧州・アジア・北米など複数地域をまたぐ旅程では、念のため該当空港の公式情報を確認しておくと安心です。
まとめ|気圧変化とルールを知っていれば心配の種は減らせる
飛行機に乗ると、地上とは違う気圧環境になるため、ペットボトルの内部が膨らんだり、ボトルが硬く感じられたりすることがあります。とはいえ、一般的な飲料ボトルが突然破裂してしまうケースはまれで、多くの場合は“少しふくらむ程度”の変化に収まります。
また、国内線では飲料の持ち込みが自由ですが、国際線では100mlルールが適用され、持ち込める液体の量や容器に明確な決まりがある点が特徴です。乗り継ぎ先によって検査内容が変わることもあり、出発前にルールを軽く確認しておくとより安心して移動できます。
記事内で紹介したように、
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ボトルの中身を少し減らしておく
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炭酸飲料は預け入れより機内側へ
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ジップバッグやタオルを活用する
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小分け容器や折りたたみボトルを使う
といった簡単な工夫でも、機内や旅行先での小さなトラブルを減らすことができます。
飛行機の気圧変化や液体ルールは、知っておくと不安が和らぐ情報ばかりです。
旅の準備をしながら、今回の内容が少しでも役に立てばうれしく思います。

